奈良の西大寺は、天平宝字8年(西暦764年)に称徳天皇が7尺の金銅四天王像の造立を発願したことから始まるお寺。
称徳天皇は、一度孝謙天皇として即位・退位後、重祚して即位された女帝。それまでも女性の天皇はいたけれど、称徳天皇だけが、皇太子となった人。道鏡を寵愛した女帝としての方が知られているかも。
東の東大寺、西の西大寺、として栄えたが、度重なる災害や平安京への遷都などの影響で寂れてしまう。
その後、鎌倉時代に叡尊上人により復興し、現在は真言律宗の総本山として全国90数か所のお寺を統括しているお寺です。
お寺のHPはこちら。
門構え。
どこの写真かすぐ分かるように、行った先の名前が入っているところを最初に写真に収めます。
境内はこのように複数の塔が建ち並んでいて、その中の、本堂・四天堂・愛染堂の三堂に拝観することができました。(ちなみに、拝観料は三堂で800円)
門からお堂までの道も静かで落ち着いています。
まず最初にお参りしたのが、四王堂。
このお堂も四天王像も、創建当時のものではなく後世の作になっていますが、四天王が踏みつけている邪鬼の像は創建当時のものとのこと。
その四天王像に囲まれて立っているのが十一面観音立像。
お堂の中は写真が撮れないので、西大寺のHPから拝借。
写真では雰囲気が伝わらないのだけど、いままで見た中でも、一番と言っていいくらい心が落ち着く観音様でした。
本堂はこんな感じ。
建物全体もいいですが、細部もいい。
釈迦如来立像がまつられています。
最後に愛染堂。
鎌倉時代にお寺を復興した叡尊上人の座像(興正菩薩坐像、重要文化財)がまつられています。
また、本堂や愛染堂には、称徳天皇の絵姿や、近年大阪府八尾市(道鏡の生地)の有志が作成された道鏡座像もありました。
道鏡は日本三大悪人の一人とされていますが、その風評は道鏡が生きた奈良時代ではなく、のちの平安時代以降に発生しているもの。
高位貴族の生まれでもない道鏡が権力を持ったことが妬まれたこともあるのでしょう。行った政策自体は、近年評価する声もあるとのこと。
いつの世も、人の妬みとは恐ろしいもの。
一度おまいりされてはいかがでしょうか。