電子書籍で買って、ずいぶん長く放置していた本をようやく読んだ。
この叙事詩には、聖書のノアの箱舟と同じエピソードが含まれている、ということをずっと昔に何かで読んだことがあり、一度読もうと思っていたもの。
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古代メソポタミアの作品で、実在したと言われているギルガメシュ王の物語。あらすじは、次のようなもの。
- ギルガメシュは、英雄であり、乱暴者。
- 乱暴に困った神が、ライバルとしてエンキドゥを造る。
- ギルガメシュとエンキドゥは戦うが、力が互角で勝敗がつかない。その結果、相手を認め合い、親友になる。
- 二人はいろんな冒険をする。
- 森の怪物フンババや天の牡牛を殺した罰として、エンキドゥは死ぬ。
- 独りになったギルガメシュは、永遠の命を求めて旅に出る。
- ギルガメシュは若返りの草を手に入れるが、水浴びをしている間に蛇に草を取られる。
- ギルガメシュは落胆して国に帰る。
ノアの箱舟のエピソードは、6の旅の途中で、若返りの草の存在を教えてくれたウトナピシュテムの話として挿入されている。
といっても、ギルガメシュは叙事詩は、アッシュールバニパル王の図書館跡から出土した粘土板に楔形文字で書かれたもの。全部で12枚の粘土板があるけれど、ところどころ欠損して、読めない箇所も多い。
本は266ページあるけれど、叙事詩そのものはその半分で、残りの半分は解説になっている。古代オリエントに興味のある方は、ぜひ。
叙事詩そのものも良かったけれど、「はじめに」に書かれている、翻訳者矢島文夫氏による解説や翻訳に至る経緯などがとても興味深かった。
数千年前の文学を読むと、人間って基本的には昔も今も変わらないんだなあと思う。喧嘩したり仲良くなったり冒険に出たり。永遠の命を求めたり。確か、始皇帝も永遠の命を求めて兵馬俑を造ったというし。
私は今のところ、永遠の命はいらないと思うけれど、いつか、そう思う日がくるのかもしれない。
こういう本を読んでいると、「アッシュールバニパル王」とか、高校の世界史の授業で出てきたなあと思い出す。「アッシュールバニパルの図書館」もね。
去年、伊勢物語絵巻を観に行った時にも思ったけれど、学校の授業って、人生で出くわすいろんなことの基礎なんだなあと思う。
中之島香雪美術館『伊勢物語 絵になる男の一代記』を観てきた。 - 今日は遊びの日。
学生の時にたくさん仕込まれた基礎の芽を、大人になってもう一度伸ばしてやるのも面白い。
そういえば昔、「ギルガメッシュないと」というお色気深夜番組があったけれど、その名前の由来は、このギルガメシュとのこと。
ギルガメシュは昔乱暴者で、手当たり次第女性を自分の物にしていたので、そういう背景からとってきたようです。
番組名はメソポタミアの英雄「ギルガメシュ」が精力絶倫の王であることにちなむ。
(Wikipediaより引用)
叙事詩の中にもこんな一節が。
〔ギルガメシュは母親に娘を〕残さぬ、〔戦〕士の息女、〔貴人の奥方をも〕