今日は遊びの日。

毎日、「遊び」の気持ちを持って、暮らしたい。

無人島に持って行きたい本は、『ダルタニャン物語』。

アレクサンドル・デュマ(父)の『三銃士』や『鉄仮面』は、子供向けの本もあるし、昔は映画にもなったり(レオナルド・ディカプリオの「仮面の男」など)で、よく知られているけれど、それらは『ダルタニャン物語』の一部でしかない。

 

『ダルタニャン物語』は、『三銃士』『二十年後』『ブラジュロンヌ子爵』の三部作。以前は講談社文庫で全11巻で発売されていたのが絶版になり、今は復刊ドットコムで販売されている(全11巻セットで30,250円している…)。

 

『三銃士』は、物語の始まり。ダルタニャンも三銃士もまだ若く、出世への野心に溢れている。友情を何よりも重んじ(みんなは一人のために、一人はみんなのために)、四人とも同じ方向を見ている感じ。ダルタニャンは最後に銃士隊の副隊長になっている。

 

『二十年後』は、『三銃士』から20年後。ダルタニャンはまだ銃士隊の副隊長のまま、40歳になっている。若い頃に思い描いていたような生活にはなっていない。いろんな不満を抱えている。物語の始まりでは、四人の交流は途絶えているが、やがて、「ダルタニャンとポルトス」「アトスとアラミス」の2組に分かれ、フロンドの乱に巻き込まれていく。

 

『ブラジュロンヌ子爵』は、『二十年後』からさらに10年後。主人公はアトスの息子、ブラジュロンヌ子爵。彼とルイーズ・ド・ラ・ヴァリエール(後にルイ14世の愛妾となった)との恋愛模様ルイ14世の宮廷絵巻と陰謀(鉄仮面)。ダルタニャンは50歳になり、金銭的にも充実し、銃士隊長、大元帥に昇りつめるが、物語の最後で命を落とす。(最後まで生存しているのはアラミスだけで、アトスやポルトスも死んでしまう)

 

 

『ダルタニャン物語』を始めて通して読んだのは、中学生の頃だった。

中学生と言えば、まだまだ子供なので、『三銃士』の世界は理解できたけれど、『二十年後』『ブラジュロンヌ子爵』については、一部しか共感できなかった。

 

あの、仲の良かった四人が敵対しているって・・・(悲しい!)

政治的な陰謀に加担しているって・・・(なんで!)

という感じで、受け入れがたい、というか、理解・共感できない、という感覚。

 

それが、自分が大人になると、すっと気持ちに入っていけるようになった。

50代になるまでに、若い頃の友人と、物理的に離れ離れになることも、心情的に合わなくなることも、あった。若い頃に描いていた理想の生活ができない葛藤、自分は万能ではないと思い知ったり、挫折を味わったことも、当然あった。そういう経験を積むと、同じ本を違った感覚で読めるんだなあと初めて思ったのがこの本。

 

『ダルタニャン物語』は登場人物が多いので、読んでいる時の状況によって、いろんな人に感情移入できるところも面白い。

 

また、史実をベースにした歴史物語なので、歴史への興味が増すことも請け合う。私は世界観に浸りたくて、フランスのベルサイユ宮殿やヴォ―・ル・ヴィコント城まで見学に行ったくらい(笑)

 

久しぶりに再読してみようかな。